未知に向け
春の一日、郊外に日頃私淑している大先輩を訪ねました。
この先輩は高等学校、大学、そして会社も同系であり、のちに大企業の社長まで勤めた人物です。
「相変わらずテニスを続けておられるんですか」
茅ケ崎駅を降りて15分ほど歩いたところ、先輩宅へ曲がる道の出合がしらに、近所の湘南テニス・クラブからラケットをかかえて戻ってきた先輩に会いました。
もう80歳近いのに毎日のようにクラブへ出かけ、子供や奥さん連中の相手をしています。
「老人は運動をやめると、途端にボケるといわれているのでね」
先輩は私と肩を並べて自宅のほうへ向かいながら運動とボケの関連を話してくれました。
活発な運動をすると当然のことながら脳血管に流れる血液量もふえ、酸素や栄養が補給されるとともに、脳代謝を促進する神経伝達物資やエンドルフィンといわれる神経調節物資の分泌が促され、脳の働きを活発にします。
「これがボケを防ぐらしいんだが・・・
ボクの感じでは活発になった血流で老化した脳細胞をどんどん取り去り、健全な良質の脳細胞だけを残しているので、脳自身の活動は正常だが、数的には脳細胞が減少して頭が悪くなっていく感じだね」
「脳自体はどんどん軽くなっているということですか」
「ボケると脳は萎縮して軽くなるらしいね。
普通は1400グラム以上あるのが、1200とか1100、極端なのは1000グラム以下になるらしい」
「幼児並みですね」
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